強欲のジャンケン 2話

開会式が始まった。

このジャンケンコロセウムは10万人のジャンケンファンで満員になっていた。

 

長ったらしいルール説明を聞いていたとき、誰かが話しかけてきた。

 

チョキ枝「よぉ。お前が蛇拳様かぁ。」

 

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髪型はチョキセットで金髪、全身黄色の痛いコーディネート男が歩いてきた。

 

俺「誰だ。俺を知っているのか。」

 

チョキ枝「おいおい、初戦の相手にそれは無いぜ」

 

俺「お前がチョキ枝か…、何ヘラヘラしてやがる。」

 

チョキ枝「ふふふ。君、弱いでしょ?僕分かるんだよね。だからつまんない。あーあ、2回戦の相手は誰になるかなぁ。」

 

俺「おい、ちょっとまて!」

 

チョキ枝は聞く耳を持たずに立ち去って行った。

 

俺「くそっ。」

 

そして気がつくと開会式は終わっていて、俺たちの試合が始まろうとしていた。

 

「皆さん、お待たせ致しました。それでは只今より第1試合を行います!蛇拳りっか選手とチョキ枝選手はジャンケンゾーンまでお願いします。」

 

俺とチョキ枝は対面した。

 

…なんて迫力だ。さっき話していた時とは全く違う。これがランキング9位…!楽しみだ。

 

「ルールは至ってシンプル3本勝負で行きます!」

 

「それでは…レッツ〜ジャンケーン!!」

 

チョキ枝「まずは俺から掛け声行くぜ。」

 

最強のチョキ使い。ここで俺がグーを出すのはマスト!

 

と、普通の人間ならそう思うだろうな。

チョキ枝は確実に裏をついてくる。

ここは様子見のチョキがベターだろう。チョキ枝が素直にチョキを出すか見極めることが出来る。

 

 

 

チョキ枝「行くぜ…最初はチョキ」

 

なにーー!?!?最初はチョキだと!?!?

そんな掛け声があってたまるか!!

掛け声はグーから始まるってのはドリフで志村けんが言い出してから代々受け継がれてきた伝統のはず…。

その伝統を破るほどのプライドを持つチョキ使いか!

…プラン変更だ。俺のグーでそのプライドをへし折ってやろう。

 

 

「ジャンケンポン」

 

俺    👊   -     ✋   チョキ枝

 

俺「ぐぁぁぁぁあああ!!」

 

チョキ枝「引っかかったな!これが俺のチョキ地獄だ!」

チョキ枝「掛け声はチョキ、髪型もチョキ、オマケに国民的ゲーム『ムシキング』で当たり前になった黄色=チョキのイメージ。この3つが合わさった以上お前はグーしか出せなくなる。」

 

俺「今のはまぐれだろ…。ハァハァ。次は俺の番だな。」

 

確かにこいつのチョキへの思考誘導は脅威だ。

 

俺「こいつを使うか…」

 

チョキ枝「なにボソボソ言ってやがる。早く始めろ。」

 

俺「言われなくても始めるさ。」

 

俺「最初はグー」

 

「ジャンケン」

 

 

俺    ✌️  -   ✋  チョキ枝

 

 

チョキ枝「な、なにが起きたんだ…。ま、負けているだと!?」

 

俺「 …。」

 

チョキ枝「くそっ…。俺の掛け声の番だ!」

(何のハッタリかは知らんが、俺のチョキ誘導からは逃れられない!)

チョキ枝「最初はチョキ!」

 

「ジャンケン」

 

俺  👊   -   ✌️   チョキ枝

 

 

チョキ枝「ま、負けたのか…俺が…。」

 

俺「俺の必殺技『大蛇の眼光』だ。俺の蛇手に睨まれた者は動けなくなってしまう。」

 

チョキ枝「だから最初の掛け声の後からは記憶がなかったのか…。」

 

 

 

「…1回戦。勝者は…蛇拳りっかだぁぁぁぁあ!!!!」

 

チョキ枝「蛇拳りっか…完敗だ。さっきはすまなかった。」

 

俺「気にすんな。お前のチョキ、俺に響いたぜ!」

 

チョキ枝「ふっ。次の試合まで少し時間がある。散歩でもしないか?」

 

俺「おう!」

 

チョキ枝は話してみると意外とまともであり、趣味も似ていたことから俺たちは意気投合した。

 

チョキ枝「お、トイレあった。小便行ってくるわ。」

 

俺は会場の花壇を見ながらチョキ枝が帰ってくるのを待った。

 

 

 

「ぐぁぁぁぁあぁぁぁあ!!」

 

チョキ枝の声だ!

俺は急いでトイレに向かった。

 

が、遅かった。

チョキ枝は誰かにグーで腹パンされ、気絶していた。

 

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俺「チョキ枝ー!!!ムチャしやがって…。」

 

俺「この強さのグー使い…。」

 

俺「まさか…出場しているのか…。」

 

俺「最凶の殴り屋  グーグル…!!」

 

 

                                                               つづく