強欲のジャンケン 最終回

とはいっても、奴のム〇ンザハ〇ドに勝てる手段がない…。

くそ!どうしたらいいんだ!!

 

「迷った時こそ考えるな」

 

俺はこの時、記憶の奥底眠っていた親父の言葉を思い出していた。

 

・・・

 

親父「この世界にはな、ジャンケンが強い奴が沢山いる!」

 

りっか「父さんより強いの?」

 

親父「どうだかな〜!ワッハッハ!」

 

りっか「む〜!」

 

親父「りっか。お前は将来強くなる。だがな、自分より強いやつが目の前に現れることもあるだろう。」

 

りっか「なんでそんなこと分かるの?」

 

親父は俺の額にチョキを当てた。

 

親父「お前の父親だからだ。」

 

親父「もし、お前が手も足も出ない相手と当たった時は、何も考えずにジャンケンしろ。」

 

りっか「何も考えずにって…そんなの勝てるわけないよ!」

 

親父「ジャンケンがお前を正しい方に導いてくれる。いずれ分かるさ。」

 

・・・

 

俺「フゥゥ…。」

 

向井「出す手は決まったようだな。じゃあ行くぞ!」

 

向井「最初はグー…ジャンケン…」

 

 

向井「ム〇ン・ザ・ハ〇ドー!!」

 

何も考えずに、ジャンケン。

その言葉を信じて、俺はそのまま拳を出した。

 

俺「こ、これは…」

 

拳がどんどんと形を変化させていく。

 

俺「グーグルのグー…チョキ枝のチョキ…パリィのパー…お前ら!!」

 

向井「グチョッパか。ふっ…なんて強欲な技だ。」

 

 

「なんと!蛇犬りっかが伝説のグチョッパを出したー!!!!」

 

俺「ハァ…ハァ…」

 

グチョッパ…最強の技だが体力の消耗が激しすぎる…。

連続で打つのは厳しいか。

 

向井「まさかグチョッパを見られるとはのぉ…。じゃがお前を見る限り、今ので体力を使い果たしてしまったようじゃな。」

 

俺「くそっ…」

 

向井「じゃあ最後のジャンケンじゃ。最初はグー…ジャンケン…」

 

向井がこちらにどんどんと迫ってくる。

 

俺「ここまでか…」

 

諦めかけた瞬間、額に懐かしい感触を感じた。

 

「強くなったな。りっか

 

 

バタンッ

 

 

「おーっと!向井太刀が倒れたー!!」

 

俺「親父…だったのか…。」

 

グーグル「向井ちゃん、ここ最近病に侵されてるって噂本当だったのね…。」

 

俺「俺は最初から1人じゃなかったのか…。いつも影で見守ってくれてたんだな…親父。」

 

「ジャンケンフェスティバル、優勝は蛇犬りっかだぁぁぁあ!!!」

 

会場が拍手と歓声で揺れていた。

 

チョキ枝「まさか、向井が蛇犬の親父さんだとはな〜。」

 

パリィ「決勝の相手が父親だなんて…凄い複雑な気持ちね。」

 

熱気で溢れた会場に、優しさで包まれた声が響き渡った。

 

???「みんな、よく頑張ったね。」

 

「この声は…ピース様!!」

 

ピース様「蛇犬りっか。まずは優勝おめでとう。」

 

俺「…。」

 

ピース様「君の願いをひとつ叶えよう。」

 

俺「俺の願いは…」

 

 

 

 

100年後

 

 

 

「昔はジャンケンで技が出せたらしいぜー!」

 

「そんなの嘘に決まってるでしょ?」

 

「おいグー太!ジャンケンしよう!」

 

「あんたチョキしか出さないのによく挑んでくるわね!怖っ!」

 

「おいお前ら、早くしないと置いていくぞー!」

 

 

この物語は、ジャンケンが平和に解決する手段になるまでのお話であった。

 

                                                             おしまい