異世界パチンカス 1話目

 

 

 

ピピピピ…ピピピピ…

 


「あれ、いつ寝たんだろう」

目を瞑りながら昨日の事を僕は思い返していた。

 


目覚ましを止め、ぼやける短針にピントが合った。

 


「最悪だ…」

 

 

 

 


「よし。行ってきまーす!」

家族に聞こえるように俺は叫んだ。

返事はなかった。まだ寝ているんだろう。

昨日観た天気予報では雨だったが、信じられない程に外は快晴だった。

「嘘じゃないか。」

初めてだ。笑顔で愚痴をこぼしたのは。

気味悪い顔をして走っていると、ポケットのスマホが僕を呼んでいた。

プルル…プルル…

「電話か…無視でいいや。」

 


今日だけは誰にも邪魔されたくなかった。

人生で最高の1日

 

 

 

になるはずだった。

 

 

 

「おっせぇなぁ!しかも電話無視しやがって〜!!」

集合場所には幼なじみのよっちゃんが貧乏ゆすりしながら待っていた。

「ごめんごめん。電話がよっちゃんとは思わなくてさ。」

よっちゃんとは幼稚園からの知り合いで、今でも週に1度遊ぶ仲だ。

「今日は待ちに待った西暦1イベントなんだぞ!」

 


そう、今日は2222年の2月2日。

僕達はこの日を200年待っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

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