異世界パチンカス 4話目

「みんなスタートしたのにうろつくばっかりで座らねーな。」

よっちゃんが周りを見渡しながら呟いた。

「台移動禁止だからみんな慎重になってるんだよ。」

実際、僕もかなり台選びに迷っていた。

爆発力のある牙狼、カスタムで脳汁を底上げできる京楽、出玉スピードが早い源さん。

色んな候補が頭に駆け巡る中、よっちゃんが台に指を指した。

「俺、この台に決めた!!」

ウマ娘無双だ。

「いつも通りじゃん。悪い台じゃないけど、打ちたかっただけでしょ。」

「好きな台じゃねーと脳汁も出ないぞ!」

確かにそうだ。こんなに考えても仕方がない。

偶然、ウマ娘無双の隣が牙狼だったため、僕はよっちゃんの隣で打つことにした。

早速貸し出しボタンを押した瞬間、遠くの方で悲鳴が聞こえた。

周囲がざわつく。

「逃げようとした奴が監視員に殺されたらしいぞ…」

通行人の会話が聞こえてきた。

「怖いねよっちゃ…」

よっちゃんに話しかけようと振り向くと、よっちゃんは手を振るわせながら台に集中していた。

こんなに焦っているよっちゃんは初めてみた。

「はやく当てて脳汁稼ごう。」

よっちゃんは無言で頷いた。

しばらく打っていたら、よっちゃんの台が騒がしくなった。

「おいツバサ!今レインボー人参が出た!当たりだ!」

興奮しているよっちゃんはおもむろにスマホを取り出し、台の撮影を始めた。

「いや〜プレミアいっぱい出て気持ちいいな!」

よっちゃんが楽しそうにしている最中、僕は少し嫌な予感がした。

 

 

「ポポポポポポ〜」

 

 

「よっちゃん右!!!!」

 

謎の男がよっちゃんのハンドルを握っていた。

 

「エアーバイブスティールだ…。」

 

謎の男は立ち上がった。

「君たちぃ。正攻法で勝てるはずないでしょぉ?」

 

 

                「これは殺し合いだよぉ?」

 

 

                           異世界パチンカス 4話目   END