強欲のジャンケン 4話目

グーグル「チョキちゃん、パリィちゃん、ちょっといい?」

 

グーグルは2人を連れて控え室を出る。

 

グーグル「蛇ちゃんの過去に何があったかは知らないけど、あの目は復讐の目よ。」

 

パリィ「復讐って…そんな…。」

 

チョキ枝「聞いたことあるぞ。確かあれは10年前、俺がジャンケンランキングを上げていた時だ。」

 

チョキ枝は険しい顔で語り始めた。

 

チョキ枝「俺は日本という島国に迷い込んだ。日本はビーストハンド発祥の地。俺は歯が立たなかった。」

 

グーグル「…?ビーストハンドはジャイオンだけのはずよ。」

 

チョキ枝「帰国して数年後ある噂を耳にした。日本が滅ぼされたと。」

 

グーグル「滅ぼされた…?」

 

チョキ枝「あぁ。しかも外国人1人にな。」

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パリィ「ま、まさかその外国人って…。」

 

 

・・・

 

 

「さぁ準決勝!蛇拳りっかvsジャイオン・キングだぁぁぁああ!!」

 

俺「良くもまあ平気な顔で来れたなクソ野郎。」

 

ジャイオン「その訛り…お前日本人か?そうかそうか!まだ生き残りがいたか〜!」

 

俺「何笑ってやがる…!」

 

ジャイオン「あれは最高だったなぁ〜!あいつらめちゃくちゃ強かったなぁ〜!またやりてぇなぁ〜!」

 

俺「イカレ野郎が…!」

 

「それでは始めます…レッツジャンケン!!」

 

俺「最初はグー…ジャンケン…蛇頭竜尾!」

 

ジャイオン「おいおい…。舐めるのも大概にしろよ。」

 

俺   ✋  vs  ✌️  ジャイオン

 

俺「ぐはっ…!」

 

ジャイオン「お前本当に日本人か?何が蛇拳だ。爬虫類なんかに逃げおって!!」

 

ジャイオン「見せてやろう。お前の祖先の技を。」

 

ジャイオン「最初はグー…ジャンケン…」

 

ジャイオン「ライオン・マー!!」

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俺「ぐわぁぁぁあ!!」

 

ジャイオンの凄まじい技の衝撃で会場は砂埃が立っていた。

 

観客「ジャイオン!ジャイオン!」

 

ジャイオン「ふん…雑魚が。」

 

 

俺「おい待てよ…勝負は終わっちゃいねぇぞ…。」

 

ジャイオン「こいつ何で生きてやがる…」

 

俺  ✊  vs  ✌️  ジャイオン

 

ジャイオン「負けてる…だと!?お前一体何をした!!」

 

俺「俺がいつからビーストハンドを使えないと言った?」

 

ジャイオン「は、ハッタリはよせ。お前は蛇拳、ビーストハンド使いになれるわけが無い!!」

 

俺「そこから間違えてんだよお前は。俺の名前は…」

 

 

 

俺「蛇犬りっかだ。」

 

 

                                                         つづく

強欲のジャンケン 3話目

???「やば〜!!遅刻しちゃう!!」

 

ママが作ってくれたパイを咥えながら走る。

 

???「ハァ。やっと着いた…ここがジャンケンコロセウムね。まずは…」

 

化粧を直すためにトイレを探していたとき、悲鳴が聞こえた。

 

「ぐぁぁぁぁあぁぁぁあ!!」

 

???「この悲鳴は一体…って蛇拳!?!?」

 

蛇拳りっかがチョキ枝を担いでトイレから出てきた。

 

???「待って!」

 

俺「誰だ?急いでいるんだ。」

 

パリィ「私の名前はパリィ!パー一族の唯一の生き残りよ!」

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俺「そうかい。パー一族のお嬢ちゃん、こいつを一緒に医務室まで連れてくのを手伝ってくれ。」

 

パリィ「え…めんど。」

 

チョキ枝を医務室のベッドに移動させた。

 

パリィ「ねぇ!悲鳴が聞こえたけど何があったの?」

 

俺「グーグルにやられたんだよ。」

 

パリィ「グーグル…あいつ選手登録抹消されたんじゃないの!?」

 

俺「何の話だ?」

 

パリィ「5年前…私怨を持つジャン師100人がグーグルに挑んだけど…返り討ちにあって99人が重症。運良く逃げられた1人はトラウマで精神病になったわ。ジャンケン連盟は彼を危険視して選手登録を抹消したのよ。」

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俺「グーグル…噂には聞いた事があったが、そんなやべぇやつなのか…。」

 

パリィ「あなた次の相手グーグルでしょ。悪いことは言わないから棄権した方がいいわ。いくらあなたが強いからって…」

 

俺「安心しろ。今日は風がいいんだ。チョキのお母さん指とお兄さん指の間に通る風がな。」

 

パリィ「…。」

 

そうして話していると

 

アナウンスが入った

 

「それではただいまより2回戦を行いますので、選手の方々はステージの方へお集まりください!!」

 

俺「さっ、行ってくるか〜。」

 

パリィ「無茶したら許さないからね!」

 

俺「はいはい。」

 

 

・・・

 

「お待たせいたしました~!!それでは第二試合を行います。蛇拳りっか VS 最凶の殴り屋グーグルだぁぁあ!!!」

 

ドシン...ドシン...

 

俺「おいおい...でかすぎんだろ。」

 

じゃんけんゾーンに大男が上ってきた。

身長は軽く3メートルは越えており、今にもはち切れそうな程の筋肉量だ。

 

グーグル「初めまして蛇ちゃん♪」

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大男は満面の笑みで話しかけてきた。

 

俺「慣れあうつもりはない。早く始めろ。」

 

グーグル「あら、冷たいわねえ~。」

 

「それでは…始めます。レッツ〜ジャンケーン!!」

 

俺「最初はグー...ジャンケン...」

 

俺「大蛇の眼光ー!!」

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俺  ✊ vs ✌  グーグル

 

よし。いくらグーグルといえど俺の大蛇の睨みからは逃げられない。

 

グーグル「ふふふ。これが蛇ちゃんの技ね♪じゃあ次は私から♪」

 

グーグル「最初はグー...ふんぬ!!!」

 

グーグルがグーを前に突き出した瞬間、グーグルの背後にとてつもない大きさの岩が現れた。

 

グーグル「ジャンケン♪」

 

俺「だ、大蛇の眼光!!」

 

俺  ✌ vs ✊  グーグル

 

俺「ぐああぁぁぁあああ!!」

 

グーグル「岩に蛇睨みは~効 か な い ♪」

 

俺の大蛇の眼光が効かないのは初めてだ…

額に汗が滲んだ。

 

「1対1になりました!泣いても笑っても次で最後です!」

 

俺「くっ…」

 

グーグル「これで蛇ちゃんとお別れか~♪」

 

俺「これを使う時がきたか...」

 

手のひらを合わせる。

 

グーグル「どうしたの~蛇ちゃん♪怖気ついちゃった?」

 

俺「いくぞ。最初はグー...ジャンケン...」

 

俺「蛇拳     蛇頭竜尾!!」

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グーグル「これは...ダブルハンド!?わ、私の岩が飲み込まれる!!」

 

俺  ✋ vs ✊  グーグル

 

会場「うおおおおおおおおお!!」

 

「二回戦、勝者は...蛇拳りっかだああぁぁぁああ!!!」

 

グーグル「私が負けるなんて...。」

 

俺「ぜぇ...はぁ...。」

 

グーグル「...。」

いつからだろう。強さを求めたのは。

昔から私は身体がでかくて皆から敬遠されていた。

ある時、学校でジャンケン大会が開かれ、私は優勝した。

その時初めて褒めてもらった。嬉しかった。

ママに伝えようと家にダッシュで帰り、勢いよく開けた玄関には最悪の光景が広がっていた。

私にジャンケンで負けた人間の仕業だった。

その時私の中の何かが壊れた音がした。

それから、ずっとジャンケンに明け暮れていた時、ゴッド・オブ・ジャンケンの噂を耳にした。優勝したら一つ願いが叶うらしい。

私の願いは、月の形をチョキにし、すべての人間をチョキの幻術にかける『チョキの目』計画だった。

なのに負けてしまった。

ジャンケンで勝つことだけが存在意義の私が...。

 

 

グーグル「蛇ちゃん、ありがとう。あなたのお陰で目が覚めたわ。これで私もママの元に...。」

 

俺「おい、死んで詫びようなんて絶対にさせねえぞ。」

 

グーグル「え...。」

 

俺「俺に協力しろ。俺の願いは『グチョッパ星』を作ることだ。全生物にグチョッパを与え、戦争をなくし、平和な世界を作る。」

 

グーグル「そんなのできっこない...。人間は奥底にみんな闇を抱えてる。そんなに人は変われないよ...。」

 

俺「じゃあ今のお前は何なんだ?」

 

グーグル「はっ...?!」

 

俺「救えない闇はない。どんなに暗くても俺が光を当ててやる。だから俺についてこい。」

 

グーグル「うぅぅぅ....。」

大男は泣き崩れた

 

 

・・・

 

 

チョキ枝「うおおお!!泣かせやがって!うぅ...」

 

パリィ「あんたいつの間に治ってんのよ。」

 

俺「泣くな気持ち悪い」

 

盛り上がっていた控室にアナウンスが入る

 

「それでは準決勝を始めますので、蛇拳りっか様とジャイオン・キング様はステージにお願いします!」

 

パリィ「ジャイオンキング!?あの伝説の!?」

 

チョキ枝「誰だそれ?」

 

俺「さぁ?」

 

グーグル「ジャイオン・キングは全種族の王よ。彼はライオンと人間のハーフ。人間の創造の域を超えたビーストハンド使いよ。」

 

俺「ビーストハンド使い.…56してやる……!!」

 

グーグル「…。」

                                   つづく

 

強欲のジャンケン 2話

開会式が始まった。

このジャンケンコロセウムは10万人のジャンケンファンで満員になっていた。

 

長ったらしいルール説明を聞いていたとき、誰かが話しかけてきた。

 

チョキ枝「よぉ。お前が蛇拳様かぁ。」

 

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髪型はチョキセットで金髪、全身黄色の痛いコーディネート男が歩いてきた。

 

俺「誰だ。俺を知っているのか。」

 

チョキ枝「おいおい、初戦の相手にそれは無いぜ」

 

俺「お前がチョキ枝か…、何ヘラヘラしてやがる。」

 

チョキ枝「ふふふ。君、弱いでしょ?僕分かるんだよね。だからつまんない。あーあ、2回戦の相手は誰になるかなぁ。」

 

俺「おい、ちょっとまて!」

 

チョキ枝は聞く耳を持たずに立ち去って行った。

 

俺「くそっ。」

 

そして気がつくと開会式は終わっていて、俺たちの試合が始まろうとしていた。

 

「皆さん、お待たせ致しました。それでは只今より第1試合を行います!蛇拳りっか選手とチョキ枝選手はジャンケンゾーンまでお願いします。」

 

俺とチョキ枝は対面した。

 

…なんて迫力だ。さっき話していた時とは全く違う。これがランキング9位…!楽しみだ。

 

「ルールは至ってシンプル3本勝負で行きます!」

 

「それでは…レッツ〜ジャンケーン!!」

 

チョキ枝「まずは俺から掛け声行くぜ。」

 

最強のチョキ使い。ここで俺がグーを出すのはマスト!

 

と、普通の人間ならそう思うだろうな。

チョキ枝は確実に裏をついてくる。

ここは様子見のチョキがベターだろう。チョキ枝が素直にチョキを出すか見極めることが出来る。

 

 

 

チョキ枝「行くぜ…最初はチョキ」

 

なにーー!?!?最初はチョキだと!?!?

そんな掛け声があってたまるか!!

掛け声はグーから始まるってのはドリフで志村けんが言い出してから代々受け継がれてきた伝統のはず…。

その伝統を破るほどのプライドを持つチョキ使いか!

…プラン変更だ。俺のグーでそのプライドをへし折ってやろう。

 

 

「ジャンケンポン」

 

俺    👊   -     ✋   チョキ枝

 

俺「ぐぁぁぁぁあああ!!」

 

チョキ枝「引っかかったな!これが俺のチョキ地獄だ!」

チョキ枝「掛け声はチョキ、髪型もチョキ、オマケに国民的ゲーム『ムシキング』で当たり前になった黄色=チョキのイメージ。この3つが合わさった以上お前はグーしか出せなくなる。」

 

俺「今のはまぐれだろ…。ハァハァ。次は俺の番だな。」

 

確かにこいつのチョキへの思考誘導は脅威だ。

 

俺「こいつを使うか…」

 

チョキ枝「なにボソボソ言ってやがる。早く始めろ。」

 

俺「言われなくても始めるさ。」

 

俺「最初はグー」

 

「ジャンケン」

 

 

俺    ✌️  -   ✋  チョキ枝

 

 

チョキ枝「な、なにが起きたんだ…。ま、負けているだと!?」

 

俺「 …。」

 

チョキ枝「くそっ…。俺の掛け声の番だ!」

(何のハッタリかは知らんが、俺のチョキ誘導からは逃れられない!)

チョキ枝「最初はチョキ!」

 

「ジャンケン」

 

俺  👊   -   ✌️   チョキ枝

 

 

チョキ枝「ま、負けたのか…俺が…。」

 

俺「俺の必殺技『大蛇の眼光』だ。俺の蛇手に睨まれた者は動けなくなってしまう。」

 

チョキ枝「だから最初の掛け声の後からは記憶がなかったのか…。」

 

 

 

「…1回戦。勝者は…蛇拳りっかだぁぁぁぁあ!!!!」

 

チョキ枝「蛇拳りっか…完敗だ。さっきはすまなかった。」

 

俺「気にすんな。お前のチョキ、俺に響いたぜ!」

 

チョキ枝「ふっ。次の試合まで少し時間がある。散歩でもしないか?」

 

俺「おう!」

 

チョキ枝は話してみると意外とまともであり、趣味も似ていたことから俺たちは意気投合した。

 

チョキ枝「お、トイレあった。小便行ってくるわ。」

 

俺は会場の花壇を見ながらチョキ枝が帰ってくるのを待った。

 

 

 

「ぐぁぁぁぁあぁぁぁあ!!」

 

チョキ枝の声だ!

俺は急いでトイレに向かった。

 

が、遅かった。

チョキ枝は誰かにグーで腹パンされ、気絶していた。

 

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俺「チョキ枝ー!!!ムチャしやがって…。」

 

俺「この強さのグー使い…。」

 

俺「まさか…出場しているのか…。」

 

俺「最凶の殴り屋  グーグル…!!」

 

 

                                                               つづく

強欲のジャンケン 1話目

ここはジャンケン島

ジャンケンの強さが全てのジャケ肉強食の世界!

そして100年に1度の「ゴッドオブジャンケン」が開催される今日、ランキング上位10名の戦士が立ち上がった!

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(※グチョッパトロフィー)

 

 

がやがや

 

 

やはり今日は人が多い。大会前にご飯でも済ましておこう。

そうして定食屋に向かっている途中、運営から放送が入る。

「えー、ただいまジャンケン島中心部、噴水広場にて本日のトーナメント表を掲載致しました。本日参加される方は必ず目を通して頂くようお願いします。」

トーナメント表は気になるが、腹が減っていた為、飯を済ませてから行くことにした。

 

カランコロン

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「いらっしゃ…じゃ、蛇拳りっか様!!」

「声が大きいよ…。」

「す、すみません。お久しぶりです。」

「久しぶりだねマスター。いつものを頼む。」

「かしこまりました。」

 

……

 

りっか様、本日のトーナメントはご覧になられました?」

「ん?まだだよ。」

「そうですか…。」

「どうした?」

「いえいえ…、ご検討をお祈りしております。」

「そかそか。ごちそっさん。」

「……お気を付けて。」

 

店を出て噴水広場に向かっていた俺は初めての光景を目の当たりにした。

「なんだこの数は…。」

噴水広場には世界各国のジャンケンマニア達で溢れかえっていた。

「失礼。道を開けてくれ。」

俺は人混みをかき分けトーナメント表に辿り着いた。

「俺の1回戦の相手は…チョキ枝?」

知らない名前だった。海外のプレイヤーだろうか。

「おや…あんたは蛇拳りっかかい?」

いかにもジャンケンが弱そうな爺さんが話しかけてきた。

「あぁそうだが」

「あんたもついてないのぉ。1回戦がチョキ枝とは。」

「どういう事だ?そんなつえーのかこいつ。」

「知らねぇんか!チョキ枝は不気味でのぉ、チョキだけで勝率95%を叩き出したチョキの怪人じゃよ。」

「チョキだけで勝率95%だと…!?」

「なんか小細工があるのか知らんが…まあ気をつける事だ。」

そうして話していると、アナウンスが入った。

 

「えー。選手の皆様。あと10分後に開会式を行いますので、島の北に位置する『ジャンケンコロセウム』にてお集まりください。」

 

「もう始まるみたいだ。ありがとう爺さん。行ってくるよ!」

「あぁ、楽しみにしてるよ。(戦えることを…)」

 

 

                                                                   続く

異世界パチンカス 4話目

「みんなスタートしたのにうろつくばっかりで座らねーな。」

よっちゃんが周りを見渡しながら呟いた。

「台移動禁止だからみんな慎重になってるんだよ。」

実際、僕もかなり台選びに迷っていた。

爆発力のある牙狼、カスタムで脳汁を底上げできる京楽、出玉スピードが早い源さん。

色んな候補が頭に駆け巡る中、よっちゃんが台に指を指した。

「俺、この台に決めた!!」

ウマ娘無双だ。

「いつも通りじゃん。悪い台じゃないけど、打ちたかっただけでしょ。」

「好きな台じゃねーと脳汁も出ないぞ!」

確かにそうだ。こんなに考えても仕方がない。

偶然、ウマ娘無双の隣が牙狼だったため、僕はよっちゃんの隣で打つことにした。

早速貸し出しボタンを押した瞬間、遠くの方で悲鳴が聞こえた。

周囲がざわつく。

「逃げようとした奴が監視員に殺されたらしいぞ…」

通行人の会話が聞こえてきた。

「怖いねよっちゃ…」

よっちゃんに話しかけようと振り向くと、よっちゃんは手を振るわせながら台に集中していた。

こんなに焦っているよっちゃんは初めてみた。

「はやく当てて脳汁稼ごう。」

よっちゃんは無言で頷いた。

しばらく打っていたら、よっちゃんの台が騒がしくなった。

「おいツバサ!今レインボー人参が出た!当たりだ!」

興奮しているよっちゃんはおもむろにスマホを取り出し、台の撮影を始めた。

「いや〜プレミアいっぱい出て気持ちいいな!」

よっちゃんが楽しそうにしている最中、僕は少し嫌な予感がした。

 

 

「ポポポポポポ〜」

 

 

「よっちゃん右!!!!」

 

謎の男がよっちゃんのハンドルを握っていた。

 

「エアーバイブスティールだ…。」

 

謎の男は立ち上がった。

「君たちぃ。正攻法で勝てるはずないでしょぉ?」

 

 

                「これは殺し合いだよぉ?」

 

 

                           異世界パチンカス 4話目   END

異世界パチンカス 3話目

俺は心に妖精が住み着いているらしい。

妖精とは思えないほど大きく、どちらかと言うと守護霊のようなものだ。

童顔で可愛らしい見た目で、心配性だ。

出会った時は名前を持って無かった。僕は仕方なく「プペル」とつけた。適当につけたが、とても気に入ってるようだ。

 

1000円札をサンドに入れると、真っ暗だった周りが突如、眩しく騒がしいパチンコ屋に変わっていた。

「なあプペル。俺ここに来たことあるんだよな。」

「うん…。」

プペルは少し俯きながら返事をした。

 

「お!やっときたかツバサ!」

笑顔のよっちゃんがこちらに向かって走ってきた。

「なんだここ!こんなでっけーパチンコ屋初めてだぞ!!」

「僕もだよ。1機種で3島ぐらい使ってるね。」

「はやく打ちてーよー!」

よっちゃんが楽しそうに話していた時、マイクのノイズが走った。

「えー。パチンコ中毒者の皆さん、ごきげんよう。私は株式会社マミー代表取締役の前田です。今から皆さんには脳汁ロワイヤルの元、競いあっていただきます。」

「脳汁ロワイヤルってなんだよ!」

「まあまあ騒がないでください。今からご説明致します。・・・。」

 

 

                   脳汁ロワイヤル ルール

1.パチンコを遊戯し脳汁の数で競い合う。

2.台移動不可。

3.脳汁の稼ぎ方は自由

4.制限時間10時間

5.脳汁ランキング上位3名は、獲得出玉×100倍の現金が支給される。

6.上位3名以外の者は、記憶を全て株式会社マミーに捧げる。

 

 

「獲得出玉×100倍の現金!?燃えてきたぜぇ!!」

周囲がざわつく中、よっちゃんだけ謎にテンションが上がっていた。

ざわつく理由は明白だ。何だこの6番目の条件は。

「プペル、この6番目が教えてくれたやつだね。」

「うん。ツバサ…」

「ん??」

「今度は、、」

「分かってるよ。この人生を終わらせてくる。」

 

「皆さーん。いいですかー?始めますよ〜?」

 

ドクン ドクン

体全体が鼓動していた。

 

「それでは〜!脳汁ロワイヤルスタート!!」

 

もう僕だけ取り残されるのは勘弁だ。

絶対に

勝つ!!

 

                         異世界パチンカス 3話目    END

異世界パチンカス 2話目

いらっしゃいませー!

いらっしゃいませー!

 

「おいツバサ。こんなの初めて見たぞ…」

「なんだこれ…」

そこには30人程の店員が頭を下げながら客を出迎えていた。

「やっぱ西暦1イベントとなると訳がちげーな。」

「よっちゃんはいつも通りウマ娘無双で負けるよw」

そんな会話をしながら店員の花道を横目に、僕達はパチンコの島に向かっていた。

「おいツバサ。あれ新台のPマツコ・デMAXじゃね?w」

僕も気になってた台だ。

僕とよっちゃんはほぼ満席の島にカニ歩きしながら入った。

「たまたま並びで空いてるじゃん!ツバサ、これで決まりだな!」

「いや勝手に決めるな!まあでも、他の台ほぼ埋まってるしこれ打とうか。」

「よーし決まりだな!先に当たった方が昼飯奢りでw」

いつも通りの謎勝負が始まった。

「まず一枚目〜。さらば菅直人!」

 

 

パタン

 

よっちゃんがお金を入れたタイミングと同時に店内が真っ暗になった。

ざわざわ   ざわざわ

「おいおい停電か?あ、俺の菅直人返せ!」

よっちゃんが台パンしていると、店内アナウンスが流れた

「え〜皆さん。西暦1イベントにお越しいただき、誠にありがとうございます。」

「なんだ??」

よっちゃんはキレながら天井に返答していた。

「いきなりですが、本日ご入金された方は私達が開発した異世界ホールにてご遊戯していただきます。」

 

「それではさようなら。」

 

「おい、なんだよこれ。身体が透明になってんぞ!おい!」

「よっちゃん…僕もすぐそっちに向かうから待ってて。」

「ツバサ!お前これが何か知ってんのか!お…ぃ…。」

そう言いながらよっちゃんは消えていった。

 

「始まったね。ツバサ」

「…脳汁ロワイヤル。生き残るのは"僕達"だ」

 

               2222年2月22日 9時20分            

               脳汁ロワイヤルスタート

 

 

                          異世界パチンカス 2話目   END